ピック通りの見どころ(タリン旧市街)

ピック(Pikk)通りは下町のメインストリートで、石畳の道に、かつての商館や倉庫が並んでいます。 ピック(Pikk)とは「長い」という意味で、その名の通り旧市街で最も長い道です。かつて港に面していた「沿岸大門(太っちょマルガレータの塔)」からタリン旧市街の中心・ラエコヤ広場(Raekoja Plats)付近まで続いています。

タリン旧市街・ピック通りの地図

ピック通りには、14世紀の商館「三姉妹」、豪商たちの組合「グレート・ギルド」、若い商人の組合「ブラックヘッド・ギルド」などがあり、ハンザ都市・タリンの交易の中心だったことが分かります。

三姉妹

太っちょマルガレータの塔からスール・ランナ門をくぐってしばらく行くと、右側に三棟続きの商館が見えてきます。1362年に建てられた商人の事務所兼住居で、外壁は白、黄銅色、レモン色と三色に塗り分けられ、その女性的なファザード(正面の壁)から「三姉妹」という愛称で呼ばれています。 かつては下層が商館、中層が居住スペース、屋根裏が倉庫となっていました。屋根裏の壁を見てみると、何やら棒が突き出ています。これは、荷物を屋根裏まで引き上げるクレーンの名残です。 この建物は2003年に内装がリフォームされ、現在は中世の雰囲気を楽しめる5つ星ホテル「スリーシスターズ」として営業しています。

住所:Pikk通り 70番地・Tolli通り2番地

幽霊通り

ピック通りをしばらく進むと、右側に「ヴァイム(幽霊)通り」という名前の小道が現れます。 17世紀、この通りでオランダ商人が妻を殺害して以来、夜になると不審な足音やノック、ひっかく音などがするようになったことから、「幽霊通り」または「恐怖通り」と呼ばれるようになったそうです。 タリンではSuur-Karja通りにも幽霊話があり、そちらでは1928年に家を建て直した際に壁の中から人骨が発見され、それを埋葬したところ音が消えたとのこと。

ブラックヘッド・ギルド

ピック通りに戻って更に進むと祠のある小さな広場があり、ここでOlevimagi通りと合流します。そのまままっすぐ行くと、左手にスウェーデン大使館(青字に金十字の国旗が掲げられています)があり、その隣にタリン唯一のルネッサンス建築があります。ブラックヘッド・ギルドの会館です。 ブラックヘッド・ギルドは、まだギルドに入る資格がなかった若い独身商人たちが1399年に結成した組織で、街の防衛やお祭りの進行を担っていました。外国人の商人も加入することができ、ロシアのピョートル大帝も名誉会員だったそうです。 この建物は1517年からギルドの会館として使われていて、1531~32年に大掛かりな増築が行われ、1597年にはオランダ風のルネッサンス様式に改築されました。様々なレリーフで装飾されたファザード(正面の壁)が目を引きます。 装飾の中心は、守護聖人の聖マリティウス(モーリシャス)像です。聖マリティウスはエチオピア生まれで、このギルドの名称「ブラックヘッド」は、その肌の色からつけられました。その周りに、当時エストニアを支配していたポーランド・リトアニア連合王家の紋章や、ハンザ同盟の各都市(ロンドン、ブルッヘ、ベルゲン、ノヴゴロドなど)の紋章が彫られています。扉も、赤、緑と金色で美しく彩られています。

住所:Pikk通り 26番地 開館時間:午前10時~午後7時

グレート・ギルド(エストニア歴史博物館 )

ピック通りを更に進むと、再び三角形の広場が現れます。広場に入る直前に右手を見ると、外壁がレモン色に塗られた三角屋根の建物があります。タリン商人の交流の場だった「グレート・ギルド」。タリンで二番目に大きい中世建築です(最大の中世建築は旧市庁舎)。 グレート・ギルドは1325年ごろまでにカヌート・ギルドから分団する形で結成されました。メンバーは主に裕福なドイツ商人たちで、市長や市議会議員もこの会員の中から選ばれていました。 ギルドの目的は、商人たちの既得権益を守り、無駄な争いをさけつつ助け合うことでした。 この会館は1410年に建てられた後期ゴシック建築で、集会や結婚式などで使われました。 外壁の上の方に見える赤地に白十字のマークは、デンマーク国旗ではなくタリンの紋章です。ライオンのノッカーで装飾された扉を開くと、天井の高いホールがあります。 現在は歴史博物館になっていて、ヴァイキングの時代から近代までの出土品や生活用具、文書、伝統衣装、再現ジオラマなどが展示されています。地下には16世紀に斬首刑で使われたサーベルなど、中世の武具があります。かつてのグレート・ギルドの規模が分かる模型もあります。

住所:Pikk通り 17番地 開館時間:午前10時~午後6時(9月1日から4月30日までは水曜日休館)

聖霊教会

グレート・ギルドから向かってすぐ正面に見えるのが、「聖霊教会(Puhavaimu Kirik)」です。14世紀の建築で、タリンに現存するゴシック教会としては最古です。 八角形の尖塔は17世紀に建てられたもので、正面の外壁に埋め込まれた大きな時計もタリン最古の公共時計です(1684年に完成)。内部は静寂な雰囲気で、重厚な木製の装飾や、15世紀にバーント・ノトケが作った祭壇が壮観です。

住所:Pühavaimu通り 2番地 開館時間: 正午~午後2時(1月3日から2月29日までの月曜~金曜) 午前10時~午後3時(1月3日から4月30日までの日曜) 午前9時~午後5時(5月2日から5月31日までの月曜~土曜) 午前9時~午後5時(9月1日から9月30日までの月曜~土曜) 午前9時~午後6時(6月1日から8月31日までの月曜~土曜) 午前10時~午後3時(10月1日から12月31日までの月曜~土曜)

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