ヴィリャンディの見どころ

このページでは、エストニアの地方都市、ヴィリャンディの観光名所をご案内します。

タリンの南161kmにあるヴィリャンディ(Viljandi)は、人口2万人ほどのヴィリャンディ県の県都。 中心部にヴィリャンディ湖や古城の跡があり、緑豊かな起伏が美しい田舎町です。 ヴァイキング時代から南エストニアの中心地の一つで、サカラ族の砦が築かれていました。 11世紀にはキエフ大公国の領土になっていましたが、1223年にドイツ騎士団(当時はリヴォニア帯剣騎士団)が占領し、城塞を築きました。 14世紀に入るとヴィリャンディはハンザ同盟の加盟都市となり、タリンとともにロシアとバルト海を結ぶ中継地として栄えます。 16世紀のリヴォニア戦争、17世紀のロシア・ポーランド戦争では共に激戦地となり、その度に町は略奪され、城も破壊されました。 その後不遇の時代が続きましたが、ロシア帝国のエカチェリーナ2世の治世に再び南部エストニアの主要都市となり、現在に至っています。 町には、ロシア統治時代の19世紀に建てられた建築が数多く残っています。 7月に開催されるエストニア伝統音楽祭は、エストニア最大の音楽祭として有名です。

ヴィリャンディの地図

ヴィリャンディ城

町の中心部と湖の間に位置するヴィリャンディ城(Viljandi ordulinnus)は、ドイツ騎士団の最重要拠点の一つとして、領内でも屈指の規模を誇っていました。 しかし戦乱の末に17世紀に廃城となり、現在はわずかに城壁などが残っているだけです。 まるで古代遺跡のような佇まいにはエストニアの苦難の歴史が深く刻まれていて、その寂しさがかえって想像力をかきたてます。 城の中心部は、野外劇場として使われています。 ヴィリャンディ城は、リガに本拠地を置くリヴォニア帯剣騎士団が1224年に築きました。当時この辺りは北方十字軍の最前線で、リヴォニア帯剣騎士団はロシアのノヴゴロド共和国と一進一退の戦いを繰り広げていました。 リヴォニア帯剣騎士団は1237年にドイツ騎士団に吸収され、その分団である「リヴォニア騎士団」となります。1346年にはデンマーク王から北部エストニア(エストニア公国)を買い取り、ますます勢力を広げました。 ヴィリャンディ城はその重要拠点の一つとなり、200年以上をかけて規模を拡張していきました。 しかし1525年には本家のドイツ騎士団が世俗化して解体。辛うじて独立状態を維持していたリヴォニア騎士団も1560年、イヴァン雷帝率いるロシア軍の猛攻を受けることになります(リヴォニア戦争)。 激しい戦いの末にヴィリャンディ城は陥落、徹底的に破壊されました。 リヴォニア戦争の結果、エストラント(北部エストニア)はスウェーデン領、リヴォニア(現在のラトヴィアと、ヴィリャンディなど南部エストニアを含む)はポーランド・リトアニア連合の領土となります。 ヴィリャンディ城はスウェーデンに対する最前線の砦として修復され、再び守りを固めます。 すると今度は、スウェーデン王の継承権をめぐってスウェーデン・ポーランド戦争が勃発。1605年にスウェーデン王・カール9世が、そして1621年にはグスタフ・アドルフが進軍してきて、ポーランド軍との間に激闘が繰り返されました。 戦後、リヴォニアはスウェーデン領となりましたが、1655年に再びスウェーデン、ポーランド、ロシアによる三つ巴の戦争が勃発(北方戦争)。スウェーデン軍がポーランドで孤立している間に、リヴォニアはロシア軍の侵攻を受けました。繰り返し破壊されたヴィリャンディ城は次第に軍事的な意味を失っていき、やがて廃城となりました。

住所:Tasuja puiestee, Viljandi

聖ヨハネ教会

ヴィリャンディ城の入り口に近いこの辺りにはもともとフランシスコ派の修道院がありましたが、リヴォニア戦争で破壊されました。 17世紀、その廃墟の上に建設されたのが聖ヨハネ教会(jaani kirik)です。その後も様々な戦争で破壊されましたが、その度に再建されました。 1950年ごろまで教会として機能していたものの、ソ連統治時代には倉庫として使われました。 エストニアの独立後に再び教会となり、現在はコンサート会場としても使われています。

住所: Pikk 6, Viljandi

聖パウロ教会

町の中心部の南西にある聖パウロ教会(pauluse kirik)は、ヴィリャンディの領主だったシュテンベルグ男爵によって1863~1866年に建築されました。その頃、町は再び活気を取り戻しつつあり、人口が増えていたことから新しい教会が必要になったのです。 デザインは、当時流行していたチューダー・ゴシック様式です。 この教会のオルガンはエストニア最大で、今も使われています。

住所:Kiriku 5, Viljandi

アクセス

タリンからヴィリャンディまでは、バスで2時間15分ほど。1時間に1~2本。 タルトゥからヴィリャンディまでは、バスで1時間15分ほど。

宿泊

Grand Hotel Viljandi Tartu 11 町の中心にある4つ星ホテル。バスターミナルから500メートル。 Centrum Hotel Viljandi Tallinna 24 町の中心、バスターミナルのすぐ南側にある。鉄道駅からは2.2km。 Hilda Villa Valuoja 7 町の中心付近にある個人所有の邸宅。1937年の建築。 城跡まで徒歩15分ほどで、客室から渓谷が見える。 Hotel Endla Endla 9, Viljandi バスターミナルの北西、Endla通りにあるゲストハウス。 SPA Hotel Peetrimõisa Villa Viljandi Pirni 4 Uueveski湖まで250メートルほどの場所にあり、中心街からは徒歩15分ほど。バス停は100メートル歩いたところにある。 Kaare Guesthouse Suur- kaare 112 町の中心から徒歩15分で、Paalaまで300メートル。 Hostel Ingeri Pikk 2C バスターミナルまで1.2キロメートルで、鉄道駅までは2.2キロメートル。

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