宿坊「普門院」(高野山)-江戸初期の美しい本堂と庭園が魅力-

「普門院(ふもんいん)」は、高野山の山上にある宿坊寺院のひとつです。 歴史的に価値が高い文化財がある一方、ホテルのような客室を備えており、従来型の宿坊には抵抗感がある人でも泊まりやすいのが特徴です。「高野山の今」を象徴する宿坊の一つといってもいいでしょう。 普門院のおすすめポイントや注意点、宿泊した人の口コミ評価、アクセス方法、特徴と歴史、予約サイトの比較などを掲載しています。

普門院のおすすめポイント・注意点と宿泊料金の例

普門院のおすすめポイント

・ ほとんどの客室が洋室(一部は和洋室)で、ツインベッドがある ・ 小堀遠州の作庭とも言われる庭園 ・ 「紫陽花の間」に泊まると部屋から庭園を一望できる ・ 徳川家霊台の拝殿だった絢爛豪華な本堂 ・ 高野山のほぼ中心に位置する立地

普門院の注意ポイント

・ 昔ながらの宿坊に泊まりたい人には向かない ・ ドアの開閉や鍵などの不調を訴える人も ・ 廊下が喫煙場所になっていることを指摘する声も ・ 入浴時間の制限が厳しいという声も ・ 安いプランだとトイレやエアコンがないこともある

こんな人に向いているかも?

・ 新しいスタイルの宿坊に泊まりたい ・ どこに行くにも便利な場所で泊まりたい ・ 天ぷらは冷たくてもいいから、絶品のごま豆腐を味わいたい ・ 江戸時代の庭園や建築、絵画に興味がある ・ 弘法大師・空海の師匠がどんな人だったのかに興味がある ・ 将棋の名勝負や井上靖に興味がある

料金プランの例(2名利用時・1人あたり)

・ 2食付期間限定プラン 12,000円(税込) ・ 2食付標準プラン 12,800円(税込) ・ 2食付特別室・貸切風呂付 33,000円(税込) 「普門院」料金・空室検索(じゃらん) 「普門院」料金・空室検索(楽天トラベル)

普門院への行き方

普門院は、高野山・山上のほぼ中心にあるため、壇上伽藍など高野山の西部、奥の院などの東部、徳川家霊台など北部を一気に回るのではなく、宿坊を拠点にして少しずつ参拝・観光したい人の拠点として最適の立地です。

普門院の位置(広域地図)

電車&バスでのアクセス:

・ 南海高野線で極楽橋駅へ ・ 高野山ケーブルで高野山駅へ ・ 南海りんかんバス(高野山内線)で「高野警察前」停留所または「千手院橋」停留所

車でのアクセス:

・ ナビの目的地に電話番号「0736-56-2224」または住所「和歌山県高野町高野山608」を指定してみてください。 ・ 高野山までの車での行き方については高野山へのアクセスはどれを選ぶ?電車・車・バス・飛行機を比較もご参照ください。

駐車場は普門院にもあります(乗用車6台分のスペース)が、外の駐車場を利用する場合は「高野町役場」駐車場「金剛峯寺前」駐車場が比較的近いです。

普門院の位置(詳細地図)

普門院の周辺には、金剛峯寺などの見どころがあります。

普門院の特徴

普門院の特徴は、その立地条件を別にすれば、歴史的にも芸術的にも価値の高い本堂と庭園があることです。 本堂は、徳川家霊台の拝殿を移築したもので、もともとは江戸時代初期の1650年に建立されたもの。日光東照宮と同じ様式で建築されたもので、特に内部は豪華に彩られています。 庭園は、「小堀遠州」の名で知られる小堀政一が作庭したという池泉回遊鶴亀式庭園です。 小堀遠州(小堀政一)は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての人物で、大名でありながら、茶人・建築家・作庭家・書家として多くの功績を残した総合芸術家。「池泉回遊鶴亀式庭園」とは、池の周囲を一周しながら鑑賞する庭園のうち、中央の心字池に亀島と鶴島があるスタイルで、小堀遠州の代名詞とも言える庭園形式です。石橋は紀州の自然石が使われています。かつては国の名勝にも指定されていました。 本当に小堀遠州の作庭であれば、普門院が移転してくる以前にこの場所にあった寺院の庭園だった、ということになります。庭園の観覧は宿泊者以外でも可能です。 普門院が所有している国宝「絹本著色勤操僧正像(けんぽんちゃくしょくごんそうそうじょうぞう)は、空海の師・勤操を描いた平安時代の絵画。空海が自ら師を描いたものだとも言われます。原本は高野山霊宝館に所蔵されています。 また、普門院所有の「木造釈迦如来及び諸尊像」が重要文化財に指定されています。 宿坊としては、特に庭園が見える特別室「紫陽花の間」に宿泊した人の満足度が高くなっています。 ただし安いプランだと「庭園を見ながら食事」などができないこともあり、トイレやエアコン(冷房)がない部屋も多いようなので、気になる人は予約前によくチェックしておくといいかもしれません。

普門院の評判

普門院に宿泊した人の口コミの中から、客観的に見て参考になる内容の一部を、箇条書きでまとめました。ただし、部屋の設備や精進料理の内容は料金プランによって変わりますし、悪い評価を受けた点は改善されている可能性もあります。

ポジティブな評価

・ 金剛峯寺のすぐ近くで、散策には便利な立地 ・ トイレ、風呂ともに新しくエレベーターもある ・ 「紫陽花の間」に泊まったが、すべてが清潔で、窓から自慢の庭園が一望できた。 ・ 徳川家ゆかりの襖絵が素晴らしい。一見の価値あり ・ 和洋折衷の部屋で手入れの行き届いた庭を眺め、ゆったりとすごせた。 ・ 内装を大改装し、現代の良いところを取り入れた宿坊 ・ 完璧な精進料理で、特にごま豆腐は店で買ったものとはまったく違い、美味しかった。 ・ 食事は思わず声を上げてしまうほどの見た目と味。 ・ 朝のお勤めに参加するのはおすすめ。読経の唱和がまるで讃美歌のように美しい ・ エレベーターがあり、トイレが共用であることを除けば満足できる設備だった ・ 施設はとても清潔で綺麗

ネガティブな評価

・ ドアの鍵の開閉、トイレの鍵、セーフティボックスの鍵と鍵は全てが不調 ・ 風呂が19時までと時間制限がありあわただしかった ・ 部屋に洗面台があれば良かった ・ みんなが利用する廊下が喫煙場所になっていたのが残念 ・ 窓から庭が見れなかったのが残念 ・ 宿坊だから仕方ないが、精進料理のてんぷらが冷たかった ・ 奥之院ナイトツアーに参加すると、帰りの時間と風呂の時間がギリギリだった ・ 外国人向けの異文化体験施設としては良いが、日本人から見ると割高 ・ プラン名に書かれていた数珠のプレゼントをもらえなかった

普門院を予約できるサイトの比較

普門院での宿泊は、いくつかの予約サイトから手配することができます。ポイント制度や割引の方法などに違いがあり、旅行の頻度や、手配にどれだけ手間をかけるかなどによっておすすめのサイトが変わります。 以下に紹介するサイトは、どれもよく旅行をする人に定評がありますが、上のほうが安心・手軽に予約でき、下にいけばいくほど、条件次第で得をする可能性がある、という順番になっています。

じゃらんnet

リクルートが運営する予約サイトで、国内の利用者数が最多。オンラインの手配に慣れていなくても安心して使えるので、年配の人には特に人気です。 通常のポイント獲得率が、2%と高めなこともメリットです。貯めたポイント(「Pontaポイント」「dポイント」または「リクルートポイント」)は旅行の他、日常の買い物(通販やスーパーなど)で使えることが多いので、使い道に困ることもありません。 新幹線や飛行機、レンタカー、ツアーなどセットで手配するとお得になることが多く、旅行の手配をまとめて手軽に済ませたい人におすすめです。 個別に手配する場合は、宿泊料金が少し高めに設定されている可能性もあるので、他の予約サイトの料金も確認しておくといいかもしれません。 「普門院」料金・空室検索(じゃらん)

楽天トラベル

通常のポイント獲得率は1%で、貯めたポイント(楽天ポイント)は旅行の他、日常の買い物(通販やスーパーなど)で使えます。 登録されている国内の宿泊施設が最も多く、豊富な選択肢からじっくり選びたい人におすすめです。 通常のポイント獲得率はじゃらんよりも低いですが、その分宿泊料金が安く設定されていることもあります。 楽天ユーザーであれば、楽天トラベルで予約した月の楽天市場での買い物のポイントが1%追加される(SPU+1倍)というメリットもあるので、それを目的に1泊だけでも楽天トラベルから予約するという人もいます。 「普門院」料金・空室検索(楽天トラベル)

普門院の歴史

普門院は、平安初期を代表する高僧の一人、勤操(ごんそう、ごんぞう。勤操大徳)が824年(天長元年)に建立したと伝わる寺院です。 勤操は、大僧都や東大寺別当もつとめた南都仏教(奈良仏教)のリーダー。しかし現在は、そのことよりも「空海の剃髪の師」として知られています。 勤操は、空海を出家させ、虚空蔵菩薩求聞持法を授け、さらに空海の入唐(唐への留学)を実現させるために奔走したとも言われているのです。つまり勤操がいなければ真言宗も高野山も存在しなかったかも知れない、とさえいえるほどの人物です。 空海が唐から帰ってくると、勤操自身は旧宗教(南都六宗の一つ、三論宗)を指導する立場だったにも関わらず、「新宗教」の密教にも理解を示し、最澄や空海から灌頂を受けました。空海が奈良仏教に融和的だったのも、この大恩人・勤操の存在があったためかもしれません。 その勤操が、僧侶としては弟子であり、密教においては師でもある空海が高野山を開創したことを喜び、建立したのがこの普門院だといいます。高野山の宿坊寺院の中でも、特に由緒がある重要な寺院だといえます。 当初は谷上院谷(壇上伽藍の北側)にありましたが、江戸時代中期に現在の場所(千手院谷)に移転したと伝わります。 1888年(明治21年)の大火で焼失しましたが、その後住職と金剛峯寺の交渉により、徳川家霊台の拝殿の払い下げを受け、本堂としました。 1948年(昭和23年)には、「高野山の決戦」として知られる将棋の名勝負(升田幸三八段対大山康晴七段戦)がこの普門院で行われています。ほぼ勝利していたはずの升田八段が、ただ一手をミスしたために敗北。そして「錯覚いけない、よく見るよろし」という名言を残した勝負です。 そして、この勝負を井上靖(当時は毎日新聞の記者)が取材に来ており、敗戦直後の混乱した世相を描いた処女作「闘牛」(芥川賞受賞)を待合室で執筆していたという話もあります。 普門院の名の由来である「普門」とは、「あまねくゆきわたっている門戸」という意味の仏教用語。真言宗では「普門万徳の尊」つまり大日如来のことを意味します。

普門院の情報まとめ

基本データ

住所
〒648-0211和歌山県伊都郡高野町高野山608
TEL
0736-56-2224
FAX
0736-56-4550
チェックイン
午後3時~午後5時
門限
午後9時
チェックアウト
午前9時まで
部屋数
17室
駐車場
有り 5台 無料 要予約

部屋の設備・アメニティ

テレビ| 電話| インターネット接続(無線LAN形式)| お茶セット| 電気スタンド(貸出)| 個別空調| ヘルスメーター| ハミガキセット| タオル| 浴衣| 金庫

備考

・ 将棋無料貸出 囲碁無料貸出 ・ 喫煙所以外での喫煙不可 ・ 貸出用車椅子 大浴場浴槽に手すりあり アレルギーに配慮した料理への対応可能

「普門院」料金・空室検索(じゃらん) 「普門院」料金・空室検索(楽天トラベル) Back to高野山の宿坊一覧と選び方おすすめ宿坊の口コミ・料金・アクセス