宿坊「密厳院」(高野山)-コスパが高く対応が親切な宿坊-

「密厳院(みつごんいん)」は、高野山の山上にある宿坊寺院のひとつです。 リーズナブルな料金が魅力で、僧侶たちも程よい距離感で接してくれ、宿坊が初めての人でも安心して泊まることができます。 真言密教の改革者で、「五輪塔」の生みの親でもある覚鑁の寺であり、境内にある「石童丸物語」の舞台、苅萱堂でも知られます。 密厳院のおすすめポイントや注意点、宿泊した人の口コミ評価、アクセス方法、特徴と歴史、予約サイトの比較などを掲載しています。

密厳院のおすすめポイント・注意点と宿泊料金の例

密厳院のおすすめポイント

・ コストパフォーマンスが高い ・ 僧侶たちが親切で、距離感もちょうど良い ・ 中庭が美しい ・ 日本の仏教史上、きわめて大きな役割を果たした僧侶の寺 ・ 高野聖が広めた有名な物語の舞台 ・ 奥の院に行きやすく、中心部もそれほど遠くない

密厳院の注意ポイント

・ 施設などの老朽化を指摘する声あり ・ 「旅館並み」との感想もあるが、設備面で過度な期待は禁物

こんな人に向いているかも?

・ 宿坊に泊まるのは初めてで、僧侶たちに冷たくされるのがこわい ・ コスパが高い宿坊に泊まりたい ・ 夜の奥の院にも行きたい ・ 仏教が腐敗を脱し存続できたのは覚鑁のお陰だと考えている ・ 浄瑠璃や歌舞伎にもなった「石童丸物語」に興味がある

料金プランの例(2名利用時・1人あたり 一番下は1名利用時)

・ 素泊まり 5,500円(税込) ・ 2食付早割プラン 10,000円(税込) ・ 2食付一人旅プラン 12,000円(税込) 「密厳院」料金・空室検索(じゃらん) 「密厳院」料金・空室検索(楽天トラベル)

密厳院への行き方

密厳院は、高野山の東部、奥の院の手前にあります。

密厳院の位置(広域地図)

電車&バスでのアクセス:

・ 南海高野線で極楽橋駅へ ・ 高野山ケーブルで高野山駅へ ・ 南海りんかんバス(高野山内線)で「苅萱堂前」停留所

車でのアクセス:

・ ナビの目的地に電話番号「0736-56-2202」または住所「和歌山県高野町高野山478」を指定してみてください。 ・ 高野山までの車での行き方については高野山へのアクセスはどれを選ぶ?電車・車・バス・飛行機を比較もご参照ください。

駐車場は密厳院にもありますが、外の駐車場を利用する場合は中心部の「高野町役場」駐車場「金剛峯寺前」駐車場など、または奥の院側の「国道371号」駐車場などがあります。「一の橋」駐車場は最も近いですが、有料駐車場です。

密厳院の位置(詳細地図)

密厳院の周辺には、奥の院の他に清高稲荷神社美福門院陵などの見どころがあります。

密厳院の特徴

宿坊としての密厳院は、リーズナブルな料金が魅力。高野山の宿坊の中では、コストパフォーマンスが高いと評価されています。 僧侶たちも程よい距離感で接してくれ、他の多くの宿坊と比べても親切だと好評。宿坊が初めての人でも、安心して泊まることができます。 部屋についても、特に広めの部屋に泊まった人の満足度が高いです。美しい中庭を望める部屋は特におすすめです。 「まるで旅館のよう。少なくとも安ホテルよりはずっと良い」という評価もあります。もっとも、部屋などの設備については、値段が安い分、あまり期待はしないほうがいいでしょう。

密厳院の評判

密厳院に宿泊した人の口コミの中から、客観的に見て参考になる内容の一部を、箇条書きでまとめました。ただし、部屋の設備や精進料理の内容は料金プランによって変わりますし、悪い評価を受けた点は改善されている可能性もあります。

ポジティブな評価

・ スタッフの対応が気持ち良かった ・ 二間続きの部屋に泊まったが、とても広くきれいで、中庭も見えて良かった ・ 値段も大変リーズナブル ・ 風呂にはメイク落としまであってとても便利だった ・ 人生初の精進料理を食べたが、とても美味しかった ・ 心遣いが細やかで、下手なホテルよりはるかに居心地も良かった ・ 部屋は旅館なみによく、すべてにおいて清潔 ・ ご飯はおひつで美味しい ・ 綺麗な庭に面した部屋に泊まれた ・ 他の宿坊は厳しい印象を受けたが、密厳院の対応は非常にホスピタリティを感じた ・ 館内は隅々まで掃除されていた

ネガティブな評価

・ 風呂の入浴剤?はもう少し自然なものがいいのでは ・ 部屋は寒かったので使い捨てカイロを使用した ・ 枕が厚く硬いので眠りづらかった ・ 部屋に冷蔵庫が付いてないので食べ物の持込みは注意が必要。 ・ 風呂は別棟で段差も有るため、足が不自由な人は注意。 ・ 施設その他の老朽化等が気になった ・ 朝のお勤めが簡素で少し物足りなく感じた ・ 部屋が道路に面していて車がやかましかった

密厳院を予約できるサイトの比較

密厳院での宿泊は、いくつかの予約サイトから手配することができます。ポイント制度や割引の方法などに違いがあり、旅行の頻度や、手配にどれだけ手間をかけるかなどによっておすすめのサイトが変わります。

じゃらんnet

リクルートが運営する予約サイトで、国内の利用者数が最多。オンラインの手配に慣れていなくても安心して使えるので、年配の人には特に人気です。 通常のポイント獲得率が、2%と高めなこともメリットです。貯めたポイント(「Pontaポイント」「dポイント」または「リクルートポイント」)は旅行の他、日常の買い物(通販やスーパーなど)で使えることが多いので、使い道に困ることもありません。 新幹線や飛行機、レンタカー、ツアーなどセットで手配するとお得になることが多く、旅行の手配をまとめて手軽に済ませたい人におすすめです。 個別に手配する場合は、宿泊料金が少し高めに設定されている可能性もあるので、他の予約サイトの料金も確認しておくといいかもしれません。 「密厳院」料金・空室検索(じゃらん)

楽天トラベル

通常のポイント獲得率は1%で、貯めたポイント(楽天ポイント)は旅行の他、日常の買い物(通販やスーパーなど)で使えます。 登録されている国内の宿泊施設が最も多く、豊富な選択肢からじっくり選びたい人におすすめです。 通常のポイント獲得率はじゃらんよりも低いですが、その分宿泊料金が安く設定されていることもあります。 楽天ユーザーであれば、楽天トラベルで予約した月の楽天市場での買い物のポイントが1%追加される(SPU+1倍)というメリットもあるので、それを目的に1泊だけでも楽天トラベルから予約するという人もいます。 「密厳院」料金・空室検索(楽天トラベル)

密厳院の歴史

密厳院は、奥の院の密厳堂や中心部の金剛峯寺と並んで、平安時代後期の改革者、覚鑁(かくばん/興教大師 1095年~1144年)にゆかりの寺院です。 「空海以来の才人」と評された覚鑁は、「治天の君(院政時代の絶対権力者)」だった鳥羽上皇(1103年~1156年)の病を治したことで上皇の信頼を勝ち取り、その支援を受けて真言密教の改革に取り組みました。 1132年(長承元年)、僧侶たちの新たな道場として大伝法院(現在の金剛峯寺)とこの密厳院を建立。自らは念仏堂である密厳院に住みました。さらに1134年(長承3年)には金剛峯寺座主(高野山のリーダー)に就任。 覚鑁の改革の特徴は、当時流行していた浄土信仰と真言密教を一体化させたことにあります。その結果生み出されたのが、「五輪塔」という新しい供養塔のスタイル。これは万物の構成要素である「地・水・火・風・空」をかたどったもので、大日如来(つまり森羅万象)の象徴。この五輪塔で供養されることで、死者は仏との一体化(つまり即身成仏)が可能になるという考え方に基づいています。そしてそれは、「阿弥陀如来に西方浄土に連れて行ってもらう」のとほぼ同じことだといいます。 今や日本全国で見られる五輪塔の生みの親は、この密厳院に住んだ覚鑁だったのです。 一方で覚鑁は、真言宗の僧侶や門徒たちの腐敗を嘆き、密厳院で長期間にわたる「無言の行(ひたすら無言を保つ修行)」を行いました。その直後に書き上げたと伝わる「密厳院発露懺悔文」は、今でも真言宗の僧侶たちの戒めとして大切にされている名文です(別人の著との説もあり)。 しかしこうしたストイックな態度に対しては反発も多く、1140年に反対派の僧侶たちが密厳院を急襲。焼き討ちをした上に覚鑁の命をも狙ったといいます(この際、覚鑁は不動明王に守られたという伝承があります)。覚鑁は命は助かったものの、高野山を退去せざるを得ませんでした。覚鑁の弟子たちは根来山を拠点にして新義真言宗を立ち上げ、高野山真言宗と激しく争うことになります。

苅萱堂と「石童丸物語」

密厳院の境内には「苅萱堂」という有名な建物があります。こちらは覚鑁を慕って集まった「高野聖」と呼ばれる遊行者たちの拠点だった場所です。 当初、彼らは再建された密厳院の敷地内に「萱堂(かやんどう)」というお堂を建てました。この萱堂を拠点に全国に旅に出て、高野山への信仰を広めたのです。この高野聖たちが語り継いだ物語の中でもヒット作となったのが、高野山を舞台とする「石童丸物語(苅萱物語)」です。 石童丸物語は、世の無常を感じて出家した筑前(福岡県)の武士、加藤繁氏(苅萱道心)と、あとに残された妻子の悲話です。成長した苅萱道心の息子・石童丸は、父にどうしても会いたいと、母とともに旅にでます。やがて父が高野山にいることが分かりますが、高野山は女人禁制の地。母を麓に残したまま、石童丸は高野山に登りました。 そして偶然、奥の院の御廟の橋で父と子は出会うことになります。しかし苅萱道心は「棄恩入無為(世俗の執着を断ち切る)」という出家の誓いを守るため、自分が父親だとは伝えず、「あなたの父は死んだ」と偽りを伝えました。 一方、麓に残されていた石童丸の母は、長旅の疲れにより亡くなっていました。こうして「両親」を失った石童丸は、苅萱道心に弟子入り。二人は親子の名乗りをあげないまま、師匠と弟子として修行に明け暮れたという話です。 この物語は、近世の庶民の心を強く捉え、江戸時代には浄瑠璃や歌舞伎の題目にもなりました。「孝」が何よりも大切とされた江戸時代に、親子の情よりも仏の道を選んだ物語が、これほど共感されたのはなぜでしょうか? これは父と子の物語ではありますが、この男たちのそれぞれの思いに翻弄され、高野山に登ることも許されず、麓で亡くなった石童丸の母(千里姫)の存在も重要です。世の女性たちが千里姫に共感したことも、大ヒットの原因だったのかも知れません。 物語の発信地となった萱堂は、現在では「苅萱堂」として知られる名所になっています。苅萱堂には、石童丸物語を描いた絵が額で飾られています。 現在の密厳院は、1931年に改築されたもの。本尊の大日如来や空海とともに、覚鑁の像を祀っています。境内には石童丸の母、千里姫の墓もあります。

密厳院の情報まとめ

基本データ

住所
〒648-0211 和歌山県伊都郡高野町高野山478
TEL
0736-56-2202
FAX
0736-56-3803
チェックイン
午後3時~午後5時
チェックアウト
午前10時まで
部屋数
10室
駐車場
あり 屋外駐車場10台収容(無料)

部屋の設備・アメニティ

テレビ| 電話| お茶セット| 洗浄機付トイレ| ボディーソープ| リンスインシャンプー| タオル| バスタオル| 浴衣| 金庫

備考

・ カード決済は不可(ただしPayPayでの決済は可能) ・ 車椅子可 ・ 空調は暖房のみ

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