宿坊「明王院」(高野山)-法話と精進料理が魅力の穴場宿坊-
「明王院(みょうおういん)」は、高野山の山上にある宿坊寺院のひとつです。 空海が開基したと伝わる由緒ある寺院で、日本を代表する不動明王像のひとつ「赤不動」を本尊としていることでも知られます。 宿坊としては、朝の勤行や法話、精進料理が高く評価されています。 明王院のおすすめポイントや注意点、宿泊した人の口コミ評価、アクセス方法、特徴と歴史、予約サイトの比較などを掲載しています。
明王院のおすすめポイント・注意点と宿泊料金の例
明王院のおすすめポイント
・ 住職の人柄と法話が素晴らしいと評判 ・ 精進料理の揚げ物がアツアツの状態で運ばれてくる ・ 貴賓室の評価が非常に高い ・ 比較的静かに泊まれる可能性がある
明王院の注意ポイント
・ 施設は古め(その割には部屋が綺麗だとの評価もあり) ・ 細かい箇所の清掃については賛否両論あり ・ シャワーの水圧が弱いとの指摘あり(多くの宿坊で共通) ・ 遮音についての問題を指摘する声もあり(ほとんどの宿坊で共通)
こんな人に向いているかも?
・ 宿坊体験で最も重要なのは僧侶のお話を聞くことだと考えている ・ 思春期の子どもを連れて行く ・ 精進料理とはいえ、冷めた天ぷらは食べたくない ・ 国内外の観光客が押し寄せる「人気トップレベルの宿坊」は避けたい ・ プライベートな空間で庭園や風呂を静かに楽しみたい ・ 実物を直接見ることはできなくても、赤不動にお参りしたい
料金プランの例(2名利用時・1人あたり)
・ 2食付客殿「五大」(冷暖房完備・ウォシュレット付) 14,000円(税込) ・ 2食付貴賓室 17,000円(税込) 「明王院」料金・空室検索(楽天トラベル)
明王院への行き方
明王院は、高野山の西部、壇上伽藍の北側のエリアにあります。高野山の中では比較的観光客が少なく、静かな地域です。
電車&バスでのアクセス:
・ 南海高野線で極楽橋駅へ ・ 高野山ケーブルで高野山駅へ ・ 南海りんかんバス(高野山内線)で「金堂前」停留所、または東側の「金剛峯寺前」停留所へ
最寄りのバス停は「高野山内線32系統」の「大塔口」停留所または「高野山高校前」停留所ですが、32系統は本数が非常に少ないです。
車でのアクセス:
・ ナビの目的地に電話番号「0736-56-2106」または住所「和歌山県伊都郡高野町高野山146」を指定してみてください。 ・ 高野山までの車での行き方については高野山へのアクセスはどれを選ぶ?電車・車・バス・飛行機を比較もご参照ください。
駐車場は明王院にもあります(8台分)。外の駐車場を利用する場合は「金剛峯寺前」駐車場や「中門前」駐車場、「愛宕第1」駐車場が比較的近いです。
明王院の周辺には、壇上伽藍、金剛峯寺などの見どころがあります。
明王院の特徴
明王院の本尊は、開創当初は空海の作と伝わる「五大明王像」でしたが、それが火災で失われた後は赤不動が本尊になっています。通常は非公開ですが、赤不動大祭(毎年4月28日、晴天の場合に開催)で開帳されます。 宿坊としての明王院は、住職の人柄についての評価が非常に高いです。特に朝の勤行と、その後の法話が分かりやすくて感動的だと評判になっています。 境内の庭園などには200種類以上の植物が自生し、美しい花々をはじめ、四季折々の風情を楽しめることも魅力です。特に貴賓室に宿泊すると、宿坊でありながら庭園と風呂をプライベートな空間で堪能でき、特別な旅の思い出がつくれそうです。 精進料理も、「揚げ物が熱い状態で運ばれてきた」という口コミが多い数少ない宿坊の一つです(常時そのようにしているかどうかは分かりませんが)。 団体客などがあまり来ないエリアにあり、登録されている予約サイトが少ないため、「静かに宿坊に泊まりたい」という人にとっても「当たり」になる可能性があります。
明王院の評判
明王院に宿泊した人の口コミの中から、客観的に見て参考になる内容の一部を、箇条書きでまとめました。ただし、部屋の設備や精進料理の内容は料金プランによって変わりますし、悪い評価を受けた点は改善されている可能性もあります。
ポジティブな評価
・ 住職の対応がとても温かい。女性従業員の方も丁寧で柔らかかった ・ 朝勤行の読経が癒し効果絶大。法話も分かりやすく感動した ・ 住職の法話が大変わかりやすく、中学生の子どもも、生きていくためのヒントを得た様子 ・ 住職が食事の場に挨拶来て、お寺の由来などを説明してくれた ・ 料理も丁寧綺麗で、揚げ物は後からアツアツ出来たてが運ばれて来た ・ 貴賓室の茶室はプライベート庭園を眺める事ができ、専用のヒノキ風呂もある ・ ゆったりとした部屋で、贅沢な気持ちになり、宿坊の概念が変わった ・ 赤不動明王へのお参りをお願いしたところ、とても丁寧に対応して頂いた。本尊を拝することは叶わなかったが、本堂にお参りすることはでき、模写したものを拝することができた ・ いくつか院と言う名が付くスポットを訪問したが、ここは力強さを感じた
ネガティブな評価
・ シャワーの水圧がかなり弱かったのが少し残念 ・ 廊下の音が響きやすくて、朝方子供の声でよく眠れなかった ・ ティッシュは無い、湿気が多い ・ 脱衣場のほこりなどが目に止まった
明王院を予約できるサイト
明王院での宿泊は、以下の予約サイトから手配することができます。
楽天トラベル
通常のポイント獲得率は1%で、貯めたポイント(楽天ポイント)は旅行の他、日常の買い物(通販やスーパーなど)で使えます。 登録されている国内の宿泊施設が最も多く、豊富な選択肢からじっくり選びたい人におすすめです。 楽天ユーザーであれば、楽天トラベルで予約した月の楽天市場での買い物のポイントが1%追加される(SPU+1倍)というメリットもあるので、それを目的に1泊だけでも楽天トラベルから予約するという人もいます。 「明王院」料金・空室検索(楽天トラベル)
明王院の歴史
明王院は、高野山でも特に古い歴史を持つ寺院の一つです。寺伝によると、開基は816年(弘仁7年)。なんと弘法大師・空海が嵯峨天皇から高野山を賜り、開創を始めたのと同じ年です。 「明王院」と名付けられたのは、空海が自らが彫った五大明王像を安置したためだといいます。密教では、「五壇法(ごだんほう)」と呼ばれる修法で五体の代表的な明王(不動明王を中心に、降三世明王・大威徳明王・軍荼利明王・金剛夜叉明王)を安置し、国家安穏などを祈願します。この場所は壇上伽藍の北にあたるため、聖地の北の守りを担ってきたと考えられます。 その後、明王院は「赤不動の寺」として篤い信仰を受けるようになります。「赤不動」とは、絹地に不動明王と二童子を描いた彩色画(絹本着色不動明王二童子像)で、不動明王の姿が鮮やかな赤に彩られているのが特徴です。 伝承によると、これは平安初期を代表する高僧の一人、円珍(814年~891年)が比叡山での修行に不動明王の姿を会得し、そのありがたさのあまり、自分の頭を岩に打ち付け、その頭の血で彩色したために赤い不動明王になった、といいます。 壇上伽藍の金堂に奉納された「平清盛の血曼荼羅」とも似た言い伝えですね。 円珍(えんちん、智証大師)は「入唐八家(平安初期に唐から密教経典を持ち帰った8人)」の一人に数えられる高僧。空海の甥にあたりますが、真言宗ではなく天台宗に入り、延暦寺の第5代座主となりました。天台寺門宗(寺門派)の宗祖であり、三井寺(みいでら、園城寺)の発展の基礎を作った人物です。 平安時代には弥勒信仰や阿弥陀信仰に加えて「不動信仰」も流行しました。不動明王は古代インド神話のシヴァ神が由来とされ、大日如来の化身として悪魔と対峙する一方、仏道に従わない者の「矯正」を行う(不信心者から見ると)恐ろしい仏。しかし実は慈悲の心と智慧の炎を秘めており、様々な願いをかなえてくれる明王として、特に現世利益を求める人々から信仰されてきました。円珍は、この不動信仰を日本に普及させた最初の人物だともいわれます。 三井寺には、「赤不動」と同じく円珍が感得したと伝わる「黄不動」があります。この「赤不動」と「黄不動」、そして京都の青蓮院にある「青不動」を合わせて「三不動」と並び称されます。 学術的には、この「赤不動」は平安時代中期以降、または鎌倉時代の作と推定され、「黄不動」や「青不動」のように国宝には指定されていませんが、平安時代~鎌倉時代の不動信仰を伝える貴重な仏画であることに変わりはないことから、重要文化財に指定されています。 後醍醐天皇が吉野に逃れる際、この赤不動を守り本尊として持っていったとも言われます。徳川家康も、赤不動に帰依したといいます。 さらに大正時代には、スウェーデンの皇太子も高野山を参詣した際に、赤不動を見て感嘆したと記録されています。 不動信仰を代表する寺院の一つである明王院は、「近畿三十六不動尊霊場」第35番札所にもなっています。
明王院の情報まとめ
基本データ
- 住所
- 〒648-0211和歌山県伊都郡高野町高野山146
- TEL
- 0736-56-2106
- チェックイン
- 午後3時~午後5時半
- チェックアウト
- 午前10時まで
- 部屋数
- 18室
- 駐車場
- 有り 8台 無料 予約不要
部屋の設備・アメニティ
インターネット接続(一部、無線LAN形式)| お茶セット| ドライヤー(貸出)| 加湿器(貸出)| ハミガキセット| タオル| バスタオル| 浴衣湯| 沸かしポット(貸出)
備考
・ 連泊希望、または子ども連れの場合要事前連絡 ・ 車椅子可 車椅子利用者用客室あり 客室内に洋式トイレあり 客室内トイレに手すりあり