宿坊「遍照光院」(高野山)-格式高い正門と快慶作の本尊-

「遍照光院(へんじょうこういん)」は、高野山の山上にある宿坊寺院のひとつ。晩年の空海が住み、禅定(瞑想)をしたと伝わる場所に建っています。 平安時代の上皇たちの御座所にもなり、皇室出身の僧侶が住職になったこともあります。正門の格式の高さに、その名残が見られます。本尊の阿弥陀如来像は快慶作の重要文化財で、宿泊した人だけが朝の勤行の後に見られます。 遍照光院のおすすめポイントや注意点、宿泊した人の口コミ評価、アクセス方法、特徴と歴史、予約サイトの比較などを掲載しています。

遍照光院のおすすめポイント・注意点と宿泊料金の例

遍照光院のおすすめポイント

・ 空海の住居や上皇たちの御座所があった特別な場所に建つ ・ 格式の高い正門、歴史のある本堂、快慶作の本尊などの文化財 ・ 客室の多くはトイレや洗面台がついた改装済みの部屋で、庭園も見られる ・ 朝の勤行、住職の法話、その後の本堂の案内の評判が良い ・ 他の宿坊より割安に泊まれるというリピーターの声あり ・ 門限が午後10時と遅め

遍照光院の注意ポイント

・ スタッフの対応については概ね好評だが、例外も ・ 精進料理については賛否両論(冷たかったという声も) ・ 古い部屋に通された人たちからの評価が低い(特にハイシーズンは要注意?)

こんな人に向いているかも?

・ 朝の勤行体験や住職の法話を重視している ・ 本堂や門など、歴史が感じられる宿坊寺院に泊まりたい ・ 一方で、客室は洗面所やトイレ付きのきれいな部屋がいい ・ 空海が瞑想したのと同じ場所で、弘法大師に思いを馳せたい

料金プランの例(2名利用時・1人あたり)

・ 2食付トイレ付標準プラン 14,500円(税込) 「遍照光院」料金・空室検索(じゃらん) 「遍照光院」料金・空室検索(楽天トラベル) 「遍照光院」料金・空室検索(アゴダ)

遍照光院への行き方

遍照光院は、高野山東部のメインストリート、小田原通り沿いにあります。壇上伽藍金剛峯寺から奥の院に行く途中です。西の金剛峯寺までは徒歩5分、東の奥の院までは徒歩10分ほどです。

遍照光院の位置(広域地図)

電車&バスでのアクセス:

・ 南海高野線で極楽橋駅へ ・ 高野山ケーブルで高野山駅へ ・ 南海りんかんバス(高野山内線)で「蓮花谷」停留所または「苅萱堂前」停留所

車でのアクセス:

・ ナビの目的地に電話番号「0736-56-2124」または住所「和歌山県高野町高野山575」を指定してみてください。 ・ 高野山までの車での行き方については高野山へのアクセスはどれを選ぶ?電車・車・バス・飛行機を比較もご参照ください。

駐車場は遍照光院にもあり、乗用車が30台停められるスペースがあります。これでまず大丈夫だと思いますが、外の駐車場を利用する場合、無料駐車場の中では「高野町役場」駐車場「金剛峯寺前」駐車場が少し歩きますが、比較的近いです。

遍照光院の位置(詳細地図)

遍照光院の周辺には、美福門院陵清高稲荷神社、苅萱堂などの見どころがあります。

遍照光院の特徴

遍照光院の正門は、唐破風(からはふ)が目立つ堂々とした御門です。京都御所の建春門と同じ型式で、高野山の寺院の中でも特に格式の高いもの。ここが空海の住居だったことに加え、皇族たちの御座所でもあった歴史に基づくものです。正門を内側から見ると、華麗な彫刻がありますが、これは空海と「三鈷杵(さんこしょう)」の伝承を表したものだといいます。 境内には回遊式庭園があり、多くの客室から望むことができるようになっています。 遍照光院は国宝や重要文化財も所蔵しており、多くの紹介サイトには、それらを「身近に鑑賞できる贅沢」がアピールされています。しかし過度な期待をしないように、どういう状況で何が見られるのかは知っておくほうがいいでしょう。 本堂にある本尊、「阿弥陀如来立像」(重要文化財)は鎌倉時代を代表する仏師の一人、快慶(1150年~1250年)が彫ったという著名な彫刻です。この宿坊に泊まって朝の勤行に参加すると、暗闇のなかにうっすらと見ることができます。 「紙本著色山水人物図」(国宝・重要文化財)は、江戸時代の文人画家として知られる池大雅(いけの たいが、池野大雅 1723年~1776年)の40代のときに描いた襖絵で、代表作の一つです。しかし、遍照光院の火災によって一部が失われ、はっきりとした画題などは分からなくなっため、多くの謎を秘めた作品となっています。 この「山水人物図」は一般公開はしていないようですが、遍照光院の大広間では、狩野派の絵師が描いた別の襖絵を見られます。 精進料理は、フランス大使をも満足させたという国際的にも定評のある味で、ボリュームもあります。宿泊者以外も、昼食で食べることが可能です。ただし、アツアツの食事を求めている人は、口コミをよくご確認ください。 風呂は、槙に縁どられたの御影石でつくられたもの。家族風呂もあります。 多くの客室はトイレ洗面付に改装されており、清潔度も含めて評価が高いです。しかしハイシーズン等は古い部屋に通される例もあるようなので、過度な期待はしないほうがいいでしょう。 部屋や食事に満足した人も、満足しなかった人も、そして辛口の外国人も、住職の朝の勤行と法話、本堂の案内については口を揃えて絶賛しています(通いの僧侶が担当した場合は除きます)。

遍照光院の評判

遍照光院に宿泊した人の口コミの中から、客観的に見て参考になる内容の一部を、箇条書きでまとめました。ただし、部屋の設備や精進料理の内容は料金プランによって変わりますし、悪い評価を受けた点は改善されている可能性もあります。

ポジティブな評価

・ 宿泊対応が気持ちよかった ・ 応対してくれた方は気さくな非常に良い方だった ・ 非常に趣がある寺で、朝のお勤めも良い経験になった。 ・ 住職の説法や読経が素晴らしかった ・ 客室は現代風で綺麗だった ・ 部屋まで食事を運んでくれ、料理の説明もしてもらえた ・ スタッフが優しく温かいおもてなしを受けた ・ 朝のお勤めが神秘的。続く本堂の案内も興味深く、説明してくれる僧侶の人柄が伺える ・ 朝のお勤めの後の本堂案内では、ユーモアたっぷりの話が分かりやすく心に残った ・ 温水トイレ付きの部屋を予約したが、大変良かった ・ トイレと洗面台が部屋にあり快適だった ・ この宿坊はいつも割安に泊まれる ・ 精進料理は、ご飯やお汁は温かいとは言いがたいが、内容は大変良かった ・ スタッフがとても気さくで親切だった ・ 朝の勤行が素晴らしい ・ 精進料理が絶妙

ネガティブな評価

・ 廊下にタバコの臭いがたちこめていた ・ 朝の勤行は通いの僧侶によるもので、15分ほどで切り上げられた ・ 予約とは違う内容の部屋に通された ・ ハイシーズンに一人旅で利用したためか、古く不清潔な部屋に通された(他の部屋を覗いたら綺麗だった) ・ 部屋に鍵がかけられず金庫もなかった(多くの宿坊に共通) ・ 寺の中の見学を期待していたが、襖絵や仏像を案内してもらえなかった(※国宝の襖絵は非公開。本堂の仏像は朝の勤行後に案内あり) ・ 精進料理はとてもおいしいが、てんぷらなどは冷たい ・  バスタオルや子どものゆかた等は持参しないといけない(※バスタオルは有料で貸し出しあり) ・ 空調も暖房などの調整が出来ず、トイレの便座も冷たい ・ 朝の勤行を除けば、すべてが価格と比べて割に合わなかった

遍照光院を予約できるサイトの比較

遍照光院での宿泊は、いくつかの予約サイトから手配することができます。ポイント制度や割引の方法などに違いがあり、旅行の頻度や、手配にどれだけ手間をかけるかなどによっておすすめのサイトが変わります。 以下に紹介するサイトは、どれもよく旅行をする人に定評がありますが、上のほうが安心・手軽に予約でき、下にいけばいくほど、条件次第で得をする可能性がある、という順番になっています。

じゃらんnet

リクルートが運営する予約サイトで、国内の利用者数が最多。オンラインの手配に慣れていなくても安心して使えるので、年配の人には特に人気です。 通常のポイント獲得率が、2%と高めなこともメリットです。貯めたポイント(「Pontaポイント」「dポイント」または「リクルートポイント」)は旅行の他、日常の買い物(通販やスーパーなど)で使えることが多いので、使い道に困ることもありません。 新幹線や飛行機、レンタカー、ツアーなどセットで手配するとお得になることが多く、旅行の手配をまとめて手軽に済ませたい人におすすめです。 個別に手配する場合は、宿泊料金が少し高めに設定されている可能性もあるので、他の予約サイトの料金も確認しておくといいかもしれません。 「遍照光院」料金・空室検索(じゃらん)

楽天トラベル

通常のポイント獲得率は1%で、貯めたポイント(楽天ポイント)は旅行の他、日常の買い物(通販やスーパーなど)で使えます。 登録されている国内の宿泊施設が最も多く、豊富な選択肢からじっくり選びたい人におすすめです。 通常のポイント獲得率はじゃらんよりも低いですが、その分宿泊料金が安く設定されていることもあります。 楽天ユーザーであれば、楽天トラベルで予約した月の楽天市場での買い物のポイントが1%追加される(SPU+1倍)というメリットもあるので、それを目的に1泊だけでも楽天トラベルから予約するという人もいます。 「遍照光院」料金・空室検索(楽天トラベル)

アゴダ

世界最大の旅行代理店「Booking.com」のグループ企業で、本家よりも格安料金を売りにしています。目的のエリアで、タイムセールなどの大幅な割引を実施している宿泊施設が見つかることがあります。 ポイント制度は、よく旅行をする人に向いた内容になっています。次回の予約で使えるポイントの他、チェックアウトの2ヶ月後以降に申請するとキャッシュバックがあったり、JALなどのマイレージを貯められたりします。 注意点としては、会員登録(googleアカウント可)をせずに予約をすると、予約番号が分からずキャンセルできないことがあります。また、キャンセル規定や、いつ支払うかといったことも、通常とは異なることがあるので、よく確認してから予約することをおすすめします。ちゃんと予約ができているかどうか、宿泊施設に直接電話して確認しておくとさらに安心です。 オンラインの手配に慣れた人で、手間をかけてでも格安で手配したい人は、お得な割引がないかチェックしてみるといいかもしれません。 「遍照光院」料金・空室検索(アゴダ)

遍照光院の歴史

遍照光院の創建は平安時代初期の832年。弘法大師・空海が自らが住む別坊として開基したと伝えられています。つまりここは、「空海の家」があった場所ということになります。 平安時代中期の1058年(または1059年)、三条天皇の皇子で、仁和寺のリーダーだった性信入道親王(しょうしんにゅうどうしんのう、1005年~1085年)が高野山に登り、800日以上にわたる護摩祈祷を行いました。その際に滞在していたのがこの遍照光院だと言われます。 その後、性信入道親王の甥で、同じく真言宗のリーダーの一人だった寛意(かんい、1062年~1101年)が遍照光院の住職となっています。 1088年には、その2年前に息子に譲位して「自由の身」になっていた白河上皇(1053年~1129年)が高野山御幸を行いました。高野山が気に入った白河上皇は、1091年と晩年の1127年にも高野山を参詣しています。その際、白河上皇の御座所となったのも遍照光院だといいます。 「白河上皇の熊野御幸の際に、その御座所として熊野別当の湛増が遍照光院を造営」という話もありますが、治承・寿永の乱(源平合戦)で大きな役割を果たした湛増(1130年~1198年)は白河上皇崩御の翌年に生まれた人物です。 白河上皇(法皇)のひ孫、後白河法皇(1127年~1192年)も熊野参詣や高野山参詣を繰り返した人物なので、白河上皇と後白河法皇が混同されて伝わっている可能性もあります。経緯を考えると、ここは白河上皇ではなく後白河法皇の御座所だった(またはその両方だった)可能性が高そうです。 いずれにせよ、遍照光院は火災で何度も焼失しながらも、朝廷や皇族出身の僧侶たちから強い支援を受けて復興し、「治天の君」の参詣の拠点となった重要な寺院でした。 鎌倉時代中期の1265年(文永2年)には、遍照光院の住職をつとめた覚斅(かくきょう)が、鎌倉幕府の実力者・安達泰盛の支援を受け、高野山町石道に217基の町石を立てています。 それまでの町石は木製の卒塔婆で、風化しやすかったのですが、覚斅により石塔となったことで、後世にまで残ることになりました。当時の町石は、現在もいくつか残っています。 現在の本坊は、江戸時代に建てられたものです。

遍照光院の情報まとめ

基本データ

住所
〒648-0211和歌山県伊都郡高野山575
TEL
0736-56-2124
FAX
0736-56-3559
チェックイン
午後3時~午後5時
門限
午後10時
チェックアウト
午前10時まで
部屋数
20室
駐車場
有り 30台 無料 先着順

部屋の設備・アメニティ

テレビ| お茶セット| ドライヤー(一部)| アイロン(貸出)| 洗浄機付トイレ(一部)| 石鹸(固形)| 石鹸(液体)| ボディーソープ| リンスインシャンプー| ハミガキセット| タオル| 浴衣| スリッパ| 湯沸かしポット(貸出)

備考

・ カード利用不可 ・ 繁忙期には食事の場所が大広間に ・ 英語対応可能

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